恋するヤンキーSS 「おもちゃ遊び」
週末のある日のこと。俺は風弥の家に遊びに来ていた。
「ねぇ、葵ちゃん。今日はこれ使っていい?」
そう言って風弥が取り出したのは注射器だった。それが医療機関などで使われる普通の注射器ではないことは性の知識が薄い俺でもすぐにわかった。思わず俺は顔をしかめる。
「てめぇは、また変なもん買ってきやがって……っ」
「今使ってるオモチャにもそろそろ飽きてきた頃だと思ってさ。
この注射器ね、中にローションが入ってるんだよ。お尻に刺して、直接中に注いであげる」
風弥は注射器を目の前にちらつかせながらにんまりと笑う。
『課外授業』などとアホな事を抜かしながら保健室でローターを使ったあの日から風弥はアダルトグッツを買ってきては俺に試してくる。惚れた弱みに付け込まれて、何だかんだ言いつつ今まで受け入れてきた。
(だけど、今回のはマジでない……!)
風弥に背を向けて逃げようとするが、すぐさま後ろから抑え込まれてしまう。
「こらこら。逃げないの。葵ちゃんは高校生なのにまだお注射が怖いのかなー?」
「てめぇ……ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ」
「そう? じゃあこれくらい余裕だね。はーい、仙崎葵ちゃん。お注射しますよー」
「何のプレイだ、この野郎っ……あっ」
風弥によってすっかり広げられたあそこは、いとも簡単に注射器の筒先を受け入れる。
容器の底をゆっくり押し込むと生暖かい液体が俺の中に流れ込んできた。
本来ならば排泄する場所に液体が注ぎ込まれて来る感覚は何とも表現し難いものだった。
「あっ……んっ……や、やだ……これ……き……気持ち悪い」
「お湯で薄めたから冷たくないでしょ? 中に全部入るまで頑張ろうね」
「なっ……全部って……」
先程見せつけられた注射器は10センチくらいはあったはずだ。それが全て注ぎ込まれることを想像した俺は堪らず逃げようとするが、風弥にがっしりと掴まれていて動けない。
「ほら暴れない。いい子だから、そのままじっとしてて」
風弥は注射器を動かす手を早めた。
「うっ……あっ、あっ……も、もう……やだぁ……」
目の奥にじんわりとした熱が集まり、生理的な涙が溢れてくる。
それと同時に体の中心からじわじわと熱が込み上げる。その熱が下半身に集まるような感覚に包まれ、信じがたい気持ちで自らの下肢へと視線を落とした。
(う……嘘だ……なんで……)
俺の中心はそそり立ち、蜜が先走っていた。
屈辱的な恥ずかしさを紛らわすために後ろを振り返り、風弥を睨みつける。
「風弥のバカ……このクソ変態っ……」
そう吐き捨てると風弥は口端を上げて笑った。
まるで俺を支配するような嗜虐的な表情に体がゾクリとする。
「目を潤ませながら、睨みつけちゃって……そういう態度が俺を煽るっていうのがまだわからないの? それともわかってて、わざとやってるのかな」
「そんなことっ……あっ」
否定しようとすると、風弥は俺の中心を掴んで扱き始めた。
「ああっ、や、やめっ……」
「俺よりこんなもの突っ込まれて勃たせてるほうがよっぽど変態だと思うな」
「ああっ……ち、違っ……あっ、あっ……」
「何が違うの? 後ろしかしてなかったのに、ここもうベトベトだよ。
お尻に注射されて気持ちよかったんでしょ? いけない子だね」
「ううっ……そんなこと、言う……な」
じわじわと追い詰めるような風弥の言葉に羞恥心を煽られて、更に蜜が溢れ出す。
風弥は溢れてきた蜜を広げるように親指の腹で俺の先端を擦った。
「あっ、あっ……やめ……て……それっ……い、いく……ああっ」
刺激に耐えられなくなった俺はそのまま達してしまう。
その反動で体制を崩し、前屈みになってお尻を高く突き上げる体制になった。
「いい格好……そのままお尻高く上げててね。残り全部入れてあげるから」
「え……あっ……あ、あっ……うっ」
風弥は注射器の底を強く押し上げる。すると、一気に液が中に入ってくる。
「ああっ……」
「ほら……全部入ったよ……よく頑張ったね」
「うっ……もう気が済んだだろっ……抜けよっ……」
「わかった。力抜いてね」
卑猥な音を立たせながら注射器が抜かれる。
すると、今までせき止めていた物がなくなり反動で中の液が溢れ出した。
「あ……あ……や、やだ……これ……で……出ちゃう……」
「ふふっ……漏らしちゃって、恥ずかしーね?」
風弥はわざとらしく言いながらくすくす笑った。
シーツを掴みながら悔しさに悶えていると、風弥の長い指が入ってくる。
「中凄いことになってる……」
「ああっ……や、やだっ……風弥……っ……中、掻き回さないで」
「ねぇ、葵ちゃん。俺のを注ぎ込んだら、こんな感じだよ。俺の精子はローションと比べ物にならないくらい熱くて、どろどろで……中に出されたらきっと気持ちいいと思う。
その快感、今すぐ知りたい?」
「え……」
(それって……風弥のを俺の中に出すってこと?)
いわゆる中出しという行為。もしも、俺が承諾したら風弥は俺の中に自分のモノをねじ込んで、自らの欲望を注ぎ込むだろう。男なのだから女が抱えるリスクはないとはわかっていても、あと一歩の勇気がなくて、首を縦に振ることが出来ない。
戸惑っていると、ふわりと頭に暖かい風弥の手が乗せられる。
「冗談だよ。葵ちゃんをからかうのは面白いね」
「え……」
冗談、ではなかったと思う。風弥は俺を思って、わざとそう言って身を引いたのだろう。
いろんな道具を使って変態的なプレイを楽しむくせに俺が本心で嫌がることは見極めてしてこない。
(俺のこと、ちゃんと見てくれてるって証拠……だよな)
愛しい気持ちが溢れてきて、思わず振り返って風弥の体にしがみついた。
「急に甘えてきてどうしたの?」
「別にいいだろ……」
はいはい、と言いながら風弥はいつものように俺の頭を撫でて、甘えさせてくれる。
「じゃあさ、次はこれ使おっか」
「へ?」
風弥の胸に埋めていた顔を上げる。
目の前に見せつけられたのは陰茎に似たバイブだった。
「な……何だよ、それ! なんかイボイボしてるし!」
「そう。この突起が内壁を擦って、葵ちゃんのいいところにも当たるからね」
風弥は見せつけるようにスイッチを入れる。前立腺を擦られる快感を知っていた俺は
それが中に入ることを想像して、生唾を飲み込んだ。
「あ、これはしてほしそうだね?」
「うっ……む、むりっ……そんなの入んねぇから……っ」
「大丈夫。葵ちゃんは出来る子だって、信じてるよ」
風弥は俺の膝を開いてバイブを挿入してくる。
スイッチを入れると、中で振動して敏感な部分に激しい刺激が襲う。
「ああっ……う、あっ……や、やだぁっ……ああっ」
「その『嫌』はもっとして欲しいほうの嫌だね」
いっぱい気持ちよくなろうね、と風弥は甘い声で囁きながら耳を舐め回す。
頭がクラクラして、おかしくなりそうな快感が押し寄せて、目の前の視界が歪んでくる。
それから力果てるまで、風弥に攻め続けられるのだった。
//終わり